生後3か月・4か月・6か月骨関節健診
生後3か月から進行性の骨関節の病気を発見して治療することが出来ます。
動物の体への負担と飼い主様の動物の病気に対する負担を軽減することが出来ます。
注)レントゲン費用等別料金がかかります。
手遅れになる前に、骨の検診を推奨しています。 骨の病気は大事に至ることがあり、「生後3ヶ月目・4ヶ月目・6ヶ月目」を1つの目安としています。 生後3か月・4か月・6か月検診
生後1年間で急激に成長する動物にとって、骨の病気も早いスピードで悪化していきます。 そのため、生後3~6ヶ月の早い段階にて、骨検診をお受けいただくことを推奨しています。
【犬の生後3・4・6ヶ月 骨関節健診とは】
・生後3か月(12週齢)
①股関節に関して
遺伝性がある疾患として股関節形成不全が有名です。
これは若齢時より股関節のゆるみが生じ、骨成長とともにそのゆるみの増大や寛骨臼、大腿骨頭の変形が生じ、股関節の運動機能が著しく低下する恐れがある病気です。
主に大型および超大型犬で認められますが、中型、小型犬種でも認められることがあります。
この疾患は生後3か月程で股関節のゆるみとして生じ始めることが認められており、顕著な症例であれば、歩様異常や筋肉量の異常が見られますが、無症状な場合もあり、病気の発症に気付かずに成犬へと成長してしまうことは少なくありません。
このため、早期の診断、予防的治療が推奨されます。
この早期診断には歩様診断、触診のほか、鎮静処置下でのX線検査を行います。
このX線検査での撮影画像をもとに股関節のゆるみを数値化し、この数値をもとに予防的手術が必要かを判断します。
予防的手術は骨盤の恥骨結合を焼烙して早期に閉鎖する若齢期恥骨結合癒合術です。
②膝関節に関して
膝関節は成長過程で膝蓋骨が大腿骨上の正しい位置にあることで、関節面が形成されて安定化します。
先天的に脱臼している、あるいは成長期早期から脱臼し始めている場合、この関節形成が異常となり、最終的に大腿や下腿の湾曲を伴った歩行障害につながる重度な膝蓋骨脱臼となります。
このため、成長期の早期の時点で膝蓋骨の位置および安定性に問題がないか確認することが重要です。
検査自体は触診による静的および動的評価のほか、状況に応じてX線検査および超音波検査を行って関節の形態を確認します。
一般的には内方脱臼が小型犬種に多く、外方脱臼が大型犬種に多いとされていますが、内方および外方脱臼の両方が生じることもあります。
治療は外科手術による脱臼の矯正を行います。
・生後4か月(16週齢)
肘関節に関して
骨の成長が急速化し始める生後4か月頃から肘関節の問題は起こりやすくなります。
肘関節を形成する骨の一部が壊れてしまう病態がその主なものであり、尺骨の内側鈎状突起離断や上腕骨の骨端部骨折、肘突起癒合不全などがあります。
また、橈骨と尺骨の成長バランスの異常から関節面がずれることで生じる問題も認められることがあります。
これらの問題は、関節の形成がまだ不十分な時期に骨の成長が急速になり、体重や運動量の増加に伴い、関節面に過度の負荷がかかることが病気の要因の一つとして考えられており、特に大型犬、超大型犬での発生が多く認められます。(病態に関しては複数の要因が推察されています。)
顕著な症状は歩様異常、疼痛を認めるようになりますが、軽度の場合には無症状なこともあります。
診断には歩様診断、触診、X線検査、超音波検査を行います。
(X線写真がブルドックのため、骨の湾曲が強いため、肘の関節アライメント捻れていますが、尺骨の内側鈎状突起下で不透過性亢進し、内側鈎状突起の損傷を疑います)
治療は損傷部位、損傷状況により異なりますが、内科治療、関節鏡検査を併用した外科治療にて行います。
・生後6か月(24週齢)
股関節に関して
関節がまだ周囲の筋肉量や骨の成長、運動量や体重増加による影響を受けやすいため、3か月時点で問題を認めなかった場合でも、股関節の形態が変化してしまうこともあります。 成長状態や生活環境により股関節形成不全が生じている可能性があります。 診断は歩様診断、触診、X線検査(3か月健診と同検査)による股関節のゆるみの確認です。 対象となるのは主に大型犬種・超大型犬種です。 治療はDPOと呼ばれる骨切り手術を行います。 これは恥骨の一部を切除し、腸骨を切断して寛骨臼を含む部位を外方へ捻って固定することで寛骨臼-大腿骨頭の整合性を改善する手術です。 また中型犬、小型犬に関しても、股関節形成不全や大腿骨頭壊死、大腿骨頭剥離骨折などの異常が生じることが散見されます。 歩行異常や筋肉量の差などが認められる場合、精査を推奨します。
【犬の生後3・4・6ヶ月 骨関節健診に関してのお勧めメッセージ】
幼齢~若齢期の骨関節疾患は無症状であったり、 一時的な症状でしか認められず、見落とされてしまうことも多い疾患です。 しかし、見落としていたがために、その後の長い生涯で運動能力に大きなハンデを背負うことになる可能性もあります。 これらの疾患は遺伝的な要因のほか、運動量や生活環境などの影響も強く受ける要因があるため、生活習慣上の注意でも予防できる可能性がありますので、検査を前提としてでなくとも、3,4,6カ月齢という点でなくとも早い段階で一度ご相談頂くことをお勧めします。
獣医師紹介
獣医師:大山隆司/日本獣医生命科学大学/iveatエコー認定医
13器官に挿入した絵は当院の大山獣医師によるものです。